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沖縄ではまだまだ、新年を旧正月で祝う習慣が多く残っています。
今年は一月二十九日が旧暦の元旦でした。旧正月を祝うために、その日の前日までに島出身の人たちが粟国島に戻ってきます。そのため過疎の島も此の時ばかりは人口が倍増します。
元旦の前日の夕方から「マースヤー」といって、三味の音と唄に合わせて子供たちが朝まで島内の家を一軒一軒踊って回ります。「マースヤー」とは、塩売りのことです。医者にも掛かれない孤島では、海塩は薬用としても大変貴重で、また海から採れる塩は命の根源であると考えられていたので、すべてのものに神々が宿るこの島では、神事には欠かすことが出来ないものでした。
私の会社では、毎年カレンダーを作っていますが、今年は太陰太陽暦(旧暦)のカレンダーを作ってみました。見た人からのあまりの反響でびっくりするほどでした。

旧暦では今年は七月が二か月あり、一年が十三か月になっています。それは三年に一度、廻ってくるそうです。
旧暦は、月の満ち欠けを利用した自然の移り変わりに即した暦で、そのため本土でも農業や漁業に従事されている人々にはまだ大切にされているとききました。
また、沖縄の年中行事として旧暦で行われる神事の数は五十を超し、それは主に豊穣と健康を祈願したものです。その年中行事で作られるご馳走(琉球料理)はどれも健康を気遣ったもので、それが今の長寿の沖縄を作った食文化の土台になっていると思います。
その料理の味付けは海塩を使ったもので、ほかの調味料は一切使いませんでした。食材も季節ごとに土地で採れた野菜と魚でしたが、気候が温暖な沖縄も耕作に適さない土地が多く、野菜なども豊富ではありませんでしたので、薬草なども多く食材に使われました。また長寿料理として有名な豚は、一年に一度しか解体しないほど貴重なもので、ほとんどの部分を塩漬けで保存して少しずつ食べていました。

世界に知られる長寿の沖縄も、終戦後からのアメリカの基地の缶詰食などの影響は強力で、昔の沖縄の食文化は激変してしまいました。缶詰は若者たちに受け入れられ、沖縄の代表ゴーヤ料理にも缶詰の食材が使われています。
自然と健康を一番に考えて作られてきた伝統の琉球料理や、本物の海塩をもう一度復活させることを願いながら、塩作りに力を入れています。


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