No.229







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●お店の野菜売場にエントリーする野菜たちの種類を数えるとすれば……実際にそんなことを試みたわけじゃないけど、おそらく百種を軽く超えてしまうに違いない。だが、よくよく考えてみれば殆どが外来種であって、この国はえぬきの純血種となると、いわゆる山・野草の系統だけ――となる。雪解け後の天然の芽生えに歓喜し、その保存法も工夫してまた冬を堪える――縄文の昔からのそんな生活を「美しいな!」と思うから、儂も若干の「雑草食い」の真似ごとを試みる。

▲そこに草の茂りがあれば、必ずと言っていいくらい目に付くのが酢噛坊だ。酢噛坊は正しくは酸模(すいば)のことらしいが、虎杖(いたどり)の俗称も同様だから、ここでは後者のこととする(形状こそ違うけれど、どちらの酢噛坊も同様に扱ってよい)。中空で節のあるそれを手折って噛み、歩きながら咽の渇きを癒したりする。摘んだ若芽や茎の上部を湯掻き、黄味酢や納豆で和えたり、トマトのスープなどに浮かせたり、茎を斜めにスライスして辛子マヨネーズでショートパスタと和えたりもする。あの酸っぱさは蓚酸(しゅうさん)だから、儂の体質には具合が悪いので多くを口にするわけにはいかない。

■蕎麦とのコラボレーションで春を愛でるには、瑞々しい色と香りの芹や気品のある花色の須美礼を選びたい。以前に書いたかも知れないが、儂流「悪乗り・須美礼(ホントは片栗を使いたい)蕎麦」が愉しい。食べ易いよう1/3長さにして茹でた蕎麦切り(前菜用に1/2量)を白い皿に盛り、プレーンヨーグルトをどかんと載せ、さらに紫の小花をたっぷりと散らす。さらに悪乗りして横にシャンペングラスを置くのもありだ。その場合は箸ではなくフォークを使ってたぐる。

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