No.266








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●犬の散歩に土手の上を自転車で行く…前号の話の続きである。前号はイントロに余計なことを書き連ねているうちに字数が尽きてしまった。この季節、白や赤の詰草の花が土手を覆い尽くす。幼い頃に幸運の四ツ葉を探したり、茎の強い白詰でネックレスを作って遊んだ方も多いのではないかな? 儂は毎年「あっ、また咲いてる」と思うだけで、これを食材として意識することもなかった。しかし、この小花や小葉を食べたって別に構わない訳だ。さっと湯掻いて甘酢に漬けたり、あるいは花毎・葉毎に薄衣の小さな天ぷらに仕立て、他の料理(例えばサラダ・パスタ・炒めもの・汁もの・玉子料理等々)の上を飾ったりすると、儂のような白髯爺は別にしても、若いご家庭なら中々微笑ましい食の風景となる。
▲土手を越えて河川敷の公園に入ると櫟を中心に木々が鬱蒼と茂り、その一角には針槐が群生する場所もある。別名を贋アカシア…略してアカシアと呼ぶ。この辺りでは五月に、それは白い蝶形の花を集めた総状花序(藤の花の形)を垂らす。街路樹にもよく使われている。蜂蜜を採るくらいだから香りがいい(詰草の蜂蜜もあったかな?)。開きかけぐらいの花を房のまま天ぷらにする(藤の花も同様に食べられます)。開いた小花は花毎の小さな天ぷらにするか、他の具材と合わせて掻き揚げにする手もある。この花を採るには木に登らねばならない。変な爺さまが公園や大通りの木を攀じたりすると、(今時は電話機持参で出歩く人が多いから、そこら中でピピピ…とやられて)ピーポーピーポーがとんで来るに違いない…ので、今のところ自重している。だから、偶に山の湯宿などで御馳になるだけである。

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